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創業者が語る創業の頃

創業の頃 (悲しい想い出)

ご近所のキッコーマンで働いておられる櫃本さんのご子息を使ってほしいと頼まれた。

瀬戸大橋の架かる前の櫃石島の出身で、身体もしっかりしているし、人の好さそうな青年で心良くお引受けした。

毎朝早くから来て、先ず私の自転車のそうじから…その頃は勿論道路は舗装もされていないし、1日中乗り廻す自転車は泥だらけ、それを家の表で雑巾かボロ切れで丁寧に掃除する。それが終ってから工具の掃除…これが彼の朝の日課となっていた。

その日もいつもの通り丁寧に自転車の掃除手入れをしていた。スポークの1本1本まで丁寧にふいてゆく、何かを取りに家の中へ一寸入ってすぐ出て来たら、誰か知らない男が私の自転車にまたがって西へ…尻をもちあげて…

アッ、自転車を…彼の絶叫で飛び出した私の方をふり向いてニヤッと笑った犯人。

追え…つかまえろ、私と堰本も必死で追わえたが…向うは自転車、こちらは素足…

ガードの下をくぐってすぐ左の小道を、尻を持ち上げて逃げてゆく犯人、どこの横道へ走りこんだのかとうとう見失ってしまった…。

情けないやら口惜しいやら…

櫃本君の父が弁償しますとおわびに来たが、これは彼の責任ではない、当方の油断やから…

責任感の強い父上は、私に何度もわびを言って、彼を再び櫃石島へ連れて帰ってしまった…悲しい想い出である。