今月の一言

社長の今月の一言
経営の師・稲盛和夫氏を偲ぶ

2022.10.04

  
 朝晩の気温が下がり、秋の気配を感じるようになってきました。大きな台風も襲来しておりますが、皆さん元気にお過ごしでしょうか?引き続き台風などの自然災害への備えを万全にしていきましょう。

稲盛和夫氏の逝去:

 去る8月24日、稲盛和夫さんが90歳で逝去されました。稲盛和夫さんは山地真人会長の“経営の師”であり、私にとっても経営の師でありました。

 稲盛和夫さんは昭和7(1932)年に鹿児島県で生まれました。
 幼少期に肺結核を患い、死を強く意識した時期に隣家のおばさんから勧められた「生命の実相」という本を読み、思いが実現するという考え方に出会います。
 昭和34(1959)年に京セラを創業、昭和59(1984)年には第二電電(現・KDDI)を設立、更に平成22(2010)年には経営破綻した日本航空(JAL)の会長に就任。
 このJAL再建のエピソードは強烈で、周囲の猛反対を笑顔でかわしつつ、政府からの要請に応える形で無給の会長に就任。
 わずか一年で業界最高水準の高収益企業に生まれ変わらせ、三年足らずで再上場を果たしています。
 それまでは稲盛さんの提唱する「フィロソフィ」や「アメーバ経営」に対して批判的な意見もありましたが、これを実績でねじ伏せるほどのインパクトがありました。
 また実業家としてだけでなく、自らの私財をもとに京都賞を創設したり、若手経営者に経営を教える盛和塾を開塾したりと、私を含めて多くの人に影響を与えた人でありました。

盛和塾での学び:

 私が稲盛和夫さんを知ったのは、中国から帰任した2010年のことです。
 先代である山地真人会長から勧められ、盛和塾徳島に入塾させて頂いたのがキッカケでした。
 恥ずかしながら、それまでは稲盛和夫という人物を知らず、KDDIは知っていても創業者など知らない、京セラは聞いたことがある程度の認識でした。
 日本に帰ってすぐに先代から「これを聞いとくように」と渡されたのが“稲盛和夫 経営講話”20巻分でした。
 経営企画室という何をすれば良いのか分からない部門を任され、私なりに悩んでいたのだと思います。素直に聞いてみると意外と面白い。
 車での移動やお風呂に入っている時間に何度も繰り返し聞くようになっていました。
 とは言え、当時でもすでに雲の上の人。盛和塾に入ったからと言って気軽にお話ができるようなことはありません。
 しかし年に数回ある塾長例会や世界大会で直接話を聞ける機会があり、その度に大きな感銘を受けていました。

稲盛さんの前で経営体験発表:

 このように盛和塾で経営を学んでいたのですが、2016年に運良く稲盛さんの前で経営体験発表をする機会を頂きました。
 鹿児島で行われた塾長例会。全国から集まった数百名の経営者と稲盛和夫さんの前で発表する経営体験発表はメチャクチャ緊張しました。
 当時の私は副社長でしたので、経営体験というより、これからの事業承継、世代交代に向けて盛和塾での学びをどう生かすかという内容で発表をしました。
 懇親会でも稲盛さんの隣でお話をさせて頂き、いくつか質問もさせてもらいました。
 ただ不思議なもので、当時たくさんの悩みがあり「あれも聞きたい、これも質問しよう」と意気込んでいたのですが、いざ稲盛さんを前にすると、すべてのことが小さい事のように思えてしまったのです。
 本当に苦労して実績を上げてきた一流の人物特有のオーラに気圧されたのだと思いますが、自分が悩んでいることなど稲盛さんの歩んできた道にくらべれば何と小さなものだろうと、大きな気づきを頂いたのです。
 そして、この発表をキッカケに社長交代に向けての実務が本格的に始動したように思います。
 私も先代も腹をくくり、お互いの経営に対する思いを語り合い、理解が進んでいきました。
 三和の経営にも、社長交代にも大きな影響を与えてくれた稲盛和夫さん。
 心より哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。

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