今月の一言

社長の今月の一言
「日々、引渡し」、「日々、成長」!

2023.11.02

  

 

 気温が下がってきて、肌寒い日が増えてきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
 特に朝晩は冷え込むようになってきました。風邪を引きやすい季節ですから、体調を崩さないように健康管理に十分留意して下さい。

小さな失敗を練習するとは?:    

 9月号の巻頭言で、柔道の基本は受け身「負ける練習」から始まるというお話をしました。
 最近は一昔前に比べて失敗しにくい、させにくい現状があるという社員さんのお話を聞いて、柔道のように受け身(失敗)の練習をすることで大ケガしないようにすることが大切。
 技術者としても、受け身(失敗)の基礎練習をするという意識が必要ではないかというお話でした。
 眼の行き届いた場所で、小さな失敗を何度も繰り返すことで、いざという時に大ケガしない身のこなしが可能になります。
 でも小さな失敗って、どうやってすればいいのでしょうか?
 これも考えてみれば色んな方法があると思いますが、私が以前、あるゼネコンの支店長さんから聞いたお話が一つの参考になると思いますので紹介します。

あるゼネコンの支店長さんから聞いたお話:   

 このお話を聞いたのは今から十年以上前だったと思います。
 そのゼネコンさんが施工する物件の最終施主検査で大チョンボが発覚し、大きなトラブルになったというお話を聞いた時のことです。

私:  「御社でもそんなことがあるんですね。正直驚きました。」
支店長:「どんな工事でもミスはある。うちも色んなトラブルを乗り越えて今があるが、それでも今回のようなことが起こる。
    情けない…。しかし今回のトラブルは基本を外さなければ防げたものだ。」
私:  「その基本とは?」
支店長:「それは『日々、引き渡す』という考え方だ。」
私:  「日々、引き渡す?初めて聞きました。」
支店長:「長い工期の最後にお客様に見てもらって、アレコレ指摘を受ける。最後までため込むから指摘の量も増える。
    そんなことをしていたらトラブルが起こるのは当たり前だ。」
私:  「…と言うことは、日々、引き渡すとは?」
支店長:「そう、毎日お客様に見てもらって、毎日お客様に引き渡す。そういう意識で管理をしていれば、
    今回のようなことは起きない。」
私:  「確かにそうですが、そんなことが可能ですか?」
支店長:「実際に毎日引き渡す手続きをする訳ではない。ただお客様にも頻繁に現場を見てもらい、一緒に完成させていく一体感、
    これがキモだよ。その一体感があれば最後の最後にひっくり返るようなことは起こりえない。
    お客様だって最後にひっくり返したい訳ではないのだよ。」
私:  「確かにそうですね。日々、引き渡すという意識の大切さ、理解できました!」

日々、引き渡しで、日々、成長!:

 この考え方は、トヨタ流の改善でも同じ考え方をされているようです。(直行率100%)
 生産ラインのどこかで問題が起こったら、即ラインを止める。そして素早く問題を解決して、ラインを再開させる。この繰り返しが驚異の直行率(不具合ゼロ)を実現させていく。
 工事現場でも、日々お客様に現場に来てもらい、その場で指摘をしてもらえば、大きな問題になるはずがありません。
 このように問題を小さなうちに解決する取り組みは、小さな失敗を何度も繰り返すことと同じではないでしょうか?
 このように「日々、引き渡す」ことは、「日々、成長できる」ことと同じ意味になります。
 そしてお客様との一体感が増し、信頼関係が深まり、当然品質も向上するという良いことづくめの取り組みなのです。
 とても手間が掛かるようなイメージがあるかもしれませんが、効率的に行う方法もあるはずです。
「日々、引渡して」、「日々、成長」、共に挑戦していきましょう!

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